肛門部の構造

肛門自体の構造を細かく見ていきます。

肛門の長さは、約3㎝で、解剖学的には肛門管と言います。ここは、発生学的には8~9週目の胎児の時、身体の内側から腸が伸びてきて、外側の皮膚面からは肛門の窪みが伸びて貫通してできます。

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この連結部はギザギザとした歯状線と言われ、ここを境に内側は大腸と同じ自律神経支配となり、この線より外側は皮膚と同じ体性神経(脊髄神経)に支配されています。

消散性直腸肛門痛の原因と治療の項でも説明した通り、自律神経支配域の痛みはにぶく、過敏に痛みを感じるのは体性神経(知覚神経)です。
したがって、肛門は2つの異なった神経系の支配をうけているので、痔の発生部位の違いにより痛み方が違ってきます。
歯状線の周囲には肛門腺窩という窪みがあり、肛門腺を開いて分泌液を出している。ここに便がたまって細菌に感染し、化膿すると痔瘻(じろう)になります。

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肛門の周囲は内括約筋という自律神経支配の不随筋と、外括約筋という脊髄神経支配の随意筋でしめつけられています。しかし、肛門の筋肉・粘膜だけでは1㎜の隙間が空いてしまうので、粘膜の下に動静脈叢や平滑筋、弾性繊維などの結合組織でクッションを作ってい閉じています。30歳を過ぎると結合組織の隙間から動静脈叢が肛門内に飛び出し、痔核となりやすくなります。

ここの部分を理解すると、痔の項目がわかりやすくなると思います。